「李方子妃を知る」三島楽寿園ツアー
2004年11月21日。秋晴れの研修日和。相模大野南口ロータリーでミニサロンバスにピックアップされて、
車上の人に。SIA会員、非会員合わせて25名。車内は「たのしく学ぶSIA」の雰囲気でいっぱい。目的地三島に
到着するころには、非会員2名の方がSIA新会員になっていました!!!!
当日の研修内容の一端を紹介しましょう。
■■■■ 研修その@ ■■■■
● 三島市楽寿園と李方子妃
日韓の重い歴史展開の中で、宿命と責任を背負いながら、真の国際人として、凛として生きぬいた一人の
女性の足跡を辿る研修地、楽寿館。
トーク・イン・コンブチームの担当が事前にキッチリ下見して、楽寿園側に依頼済みのため、館内のご案内は
懇切丁寧。普段はすっかり水が枯れているという三島溶岩流の小浜池が、研修当日は満面の水をたたえて、
楽寿館の姿を映し、われわれを歓迎してくれました。いままで、こうした研修で当館を訪れる学習者は皆無だった
ようです。王家の格式・格調にふさわしい襖絵、天井画、床柱等々、楽寿園の古式豊かな文化財になるほどと
敬服しました。同様に、いやむしろそれらと対局する鮮やかさで、不幸な歴史の展開の中で数奇な運命に翻弄
されてなお、一個の人間の尊厳と誇りを失わず、人々の愛と信頼を得て生きた「人間・李方子妃」の姿が
鮮やかに見えてきた研修でありました。
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● 李方子(イ・バンジャ)妃のこと
李方子妃は皇族、梨本宮方子女王として1901年誕生。
やがて、日本国内の政治的駆け引きや、大韓帝国を併合した後、李王朝の断絶と植民地化をもくろむ軍閥によって、
日本に留学させられていた李王朝の皇太子、李垠(イ・ウン)殿下と1920年結婚。方子妃19歳、李垠(イ・ウン)殿下
23歳。結婚の翌年長男晋(シン)が誕生。しかし生後8ヶ月で急死。翌年次男玖(ク)誕生。李王家は赤坂御殿、
(現在の赤坂プリンスホテル)、大磯別邸等保持しており、楽寿園も李王家の三島別邸でとのこと。
1945年、日本敗戦で李王家は「臣籍降下」となり、李方子妃は無一文の在日韓国人になった。
1948年には大韓民国が樹立されたが、「半日政策」を掲げた李承晩大統領は李垠夫妻の帰国をみとめなかった。
やがて、朴正熙議長の尽力で祖国に帰ったのは1963年。既に垠殿下は脳軟化症で意識混濁状態だった。やがて
殿下は1970年逝去された。方子妃は「チョッパリ」(豚の足は2つに割れている。日本人が足袋をはいた様子が
これに似ていることから、日本人を侮蔑することば)などと呼ばれながら、韓国の土になることを決意。夫の意志でも
ある恵まれない子供や身体障害者のために教育施設の建設に取り組む。1978年光明市鉄山里に「明暉園」を建設。
ソウルの自治院明恵会館や水原市の慈恵学校も方子妃の努力で実現。方子妃は社会事業のために必要な資金を
作るため何回も来日し、自分の作品のバザーを全国で開催し、寄付を集めた。今も「韓国障害児の母」「韓国のオモニ」
と敬愛される方子妃は1989年逝去された。生前「一人の女性として、妻として、私は決して不幸ではなかった」と
述べている。
■■■■ 研修そのA ■■■■
● 富士の湧水あふれる、柿田川の水源探訪。
日糧200万トンの湧水あふれるオアシスでの研修です。![]() |
富士山や箱根山や愛鷹山に降ったに雨が地下水となり、三島溶岩流の最先端から突然湧き出して河川となる
のです。柿田川の最上流部には大小10ケ所の湧き間があるそうです。わたし達が訪れたのはそのうち2箇所。
湧水は砂を突き上げるごとく、湧き溢れ、やがて岸辺すれすれまでひたひたと満ちて豊かな流れをつくります。
そして水辺の命をはぐくみながら、ゆるりと流れ下っていくのです。命はぐくむオアシス・・・。岸辺によって、一口
手ですくって飲みたい思いが実現したのは、柿田川のお休みどころ。まろやかで甘い水でした。美味!
柿田川の湧水で作った豆腐購入。アイスクリームも味見。これもきわめて美味!全ては水からという実感しきり
でした。
柿田川だけで見られるミシマバイカモの可憐な花を見ることができたのも、うれしいことでした。
ここにかつて石油コンビナート計画が持ち上がり、住民の強い反対で中止になったとのこと。
柿田川湧水に立つと、命の原点に立つ思いになるのです。命にとって一番大事なものは何かが見えてくる、そして
大事なものは守らなければ失うということを確認した研修でもありました。
帰りは行楽帰りの車・車のなかで、最後の研修。エネルギーあふれるトーク・イン・コンブチームは、復習クイズで、
研修参加者のさび付いた脳みそをゆさぶりました。ゆさぶってもびくともしないわが脳みそに見切りをつけて、柿田川
湧水豆腐を使った料理のレシピなど考えながら終着点相模大野へ。
学ぶって発見なのね、学ぶって喜びなのね、学ぶってワイワイで美味しいものなのね・・・
以上報告です。(会員E・T)
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