「最新上海事情?」
プロローグ
私は、これまでに三十を超える色々な国々へ行きましたので多い方だと思いますが、
・年を取ったら行きにくくなりそうな国へ若いうちに行っておこう!
・日本にいるとあまり情報が入らない所へ行ってみよう!
・みんなが行かないところへ行って自慢しよう?
という考えのもと、もっぱら第三世界を中心に気ままに旅や生活をしてきました。
その結果、なんと米国・中国・韓国などの日本にとって関係の深い身近な国々へは
行ったことがなかったのです。(別に嫌いなわけじゃぁないのですヨ・・・ホントに!)
そんな私が今年(2002年)の夏、仕事の関係で上海に行くことになりましたので、
現在世界で最もホットな街の上海の最新情報?をご報告します。
都市のハード・インフラ
横浜の姉妹都市、上海帰り=ハイカラさんなんて連想で、まとまりが良くて、
ロマンチックな街なのかな?と思って行ってみたら・・・何と大都会でした!
短い滞在でしたが、現在の上海の規模は、東京を中心にして千葉市〜さいたま市
〜横浜市位(いわゆる首都圏エリア)をまとめた感じで、こちらのように
とぎれてしまうことなく、やたらと高層ビルが建ち並んでいました。
上海とその周辺の十年後を想像すると、関東平野が全部都会になる位の勢いでしょう。
一番驚いたのは、高速道路が整っていて、中心部は無料である事。
それにより車での移動がとてもスムーズで、距離を感じさせません。
更に、郊外へ向けて、急ピッチで高速道路が整備されつつあり、
郊外の工業団地はこれから伸びるでしょう。
また、ドイツの技術による世界初の実用リニアモーターカーが来年浦東空港から
市内まで短時間で結ぶ予定で、インフラは充分整っています。
ちょっと心配になった事は、標高がとても低いことで、海から数十キロ入った内陸でも、
海抜が数メートルと驚くほど低く、今後更に進むと予測される地球温暖化による水位の上昇や、
大雨の洪水による都市災害が気になりました。さらに言えば、中国の経済成長に伴う
エネルギー消費の増大が、上海周辺に災害をもたらす可能性があるジレンマに
どう対応するのか気になります。
造成中の工場団地-1
造成中の工場団地-2
工事中の工場
街で感じた印象 日本・上海比較
仕事の合間に街や人と触れ合って感じたことは、上海は中国の中では特殊な街なのだと
言うことを差し引いても、私が持っていた先入観とはかなり異なる物でした。
例えば、食事をすればまず「乾杯(カンペイ)」で、強いお酒をグイグイ飲み干し、
それが出来ないとつき合えない・・・なんて事は全くなく、お酒は程々でマイペース。
上海のレストランではサントリービールが人気で、青島ビールや紹興酒を飲んでいるのは
ごく希でした。
但し食欲は旺盛で、昼も夜も結構食べますね。その結果なのか、エネルギッシュに動き、大声を出し、
(高速道路でも)道路の割り込み合戦はかなりのモノで、肝を冷やすことが何度もありました。
さて、仕事ぶりはどうかというと、日本の経済環境は「苦悩」「衰退」という言葉が
残念ながらふさわしい昨今ですが、中国では「変化」「成長」という言葉が当てはまる状況で、
様々な階層の人達が上を見て励んでいます。
意外だったことは、日本が民間主導であり、中国は行政主導の国であると想像して
いたのですが、その反対の印象を持ちました。そのこと聞いた中国人は
「日本は唯一・理想的な社会主義国だからね!」という答えを笑って返しました。
泊まったホテルのベランダより虹橋近郊の景色
新たなエリート群像
訪中前後に日本と中国で出合った三人の中国人から共通する話しを聞きました。
彼らは、中国の一流大学+日本の一流大学(院)の卒業生であり、彼らは四十歳代前半で
中国の未来を担っているという強烈な自負と、チャンスを窺い獲物を狙う意欲に満ちていました。
彼ら曰く、自分達の世代が今中国を動かしている、なぜなら、彼ら以前の大学入試は選抜試験がなく、
**党幹部の関係者や抽選(?)で選ばれた人達が入学したのでレベルが低い。自分達は初めて
自由な競争で選抜されたエリートであり、当然能力がある。また、彼らのネットワークは強烈で、
ほとんど全ての政府機関や有力民間企業に先輩後輩ネットワークがあり、電話一つで情報を
やりとりしている。私に任せなさい!という気分です。
現在の日本の(少なくともメディアによる風潮では)一流大学や官僚の威光や自信は地に落ち、
経済的な「苦悩」の解決に新たな方向性を示すことが出来にくくなっている状況とは対照的です。
彼らと話していて、日本のバブル前の雰囲気に似ていると思いました。
日本の昭和三十年代〜バブル前後〜現在〜未来までの経済の動きが、中国、特に上海周辺で
一遍におきているのかも知れません。
エピローグ
上海の中心部にある「偽物マーケット」へ行った時、私はあまり偽物には興味がないので、
通りを一巡し、一角の広場で木陰のベンチに座り、道行く人を眺めていました。
暑い日の夕方で「中国はこれからどうなって行くのだろう?」などと思いながら、
たまたまそこに掲げてあった横断幕に書いてある、今秋の共産党大会(五年毎)と
そのスローガン「三つの代表」について同行の方の説明を聞いていたら、
目の前で遊んでいた男の子の坊主頭を、通りすがりの女性がいきなり「パチィーン」と叩いたのです!
・・・その後数秒間の会話(想像)・・・
子供「何すんだヨー 痛いじゃないか」
女性「ボクの頭に蚊がいたノ!」
子供「あっ、そう! アンガト」
その時、私は中国が好きになりました。
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